【植樹のハナシ③】ハンノキのこと

チエモクでは、設立以来「木のいのちも喜ぶものづくり」を目指して、さまざまな北海道産木材の特徴を生かし活用することに取組んできましたが、
中でもうつわづくりにおいては、「ハンノキの活用」ということに目下全力で取り組んでいます。

現在、チエモクで使っている木材のほとんどが、下川町産のハンノキです。
下川町のことは【植樹のハナシ②】でご紹介しましたが、毎年、森の一部を伐採し、使って、また同じ面積だけ植える、60年のサイクルで順繰りに木を使わせてもらいながら育て、森のお手入れをしていく、町の敷地でそうやって永遠に森林を保全しながら、森の恵みを生み出しつづける「循環型森林経営」の町です。

その人工林=畑で育てる木は、カラマツ・トドマツ・エゾマツといった針葉樹です。原則として、他の木は植えません。

「マツを使わないでハンノキを使ってるんだからハンノキ植えればいいんじゃないの?」と思われる方もいらっしゃるでしょう?

ね?
そこなんですよ~w

現在チエモクでメインの樹種として使っている木材=ハンノキは、下川町の森で植林されたカラマツ・トドマツの間に、まるで雑草のように勝手に生えてくる木=侵入木の1種です。
そして60年間成長した針葉樹を伐採=収穫する時に、横に生えてるハンノキも一緒に伐(き)られます。成長が早いため、その時点で充分木材として活用できる太さに育っているものも多くあります。
ですがこれまでは、木材としてはほとんど活用されず、丸太のままパルプの材料として町外の製紙工場へ送られたり、燃料材としてバイオマス工場へ送られていました。
パルプ材やバイオマス材より少しでも高く買い取って木材にできれば、また下川町内でその丸太を挽いたり(スライスして板にすること)乾燥したりという仕事が生まれたら、限られた面積の森から出る価値を、ハンノキが増やしたことになる。
それを、勝手に生えてくる木でやっているから良いのです。
せっかく生まれた価値が、苗や植樹の費用で相殺されたり、その分針葉樹を植える場所が減ったり、周りの天然林を伐採してもっと植える場所を広げよう、となるのでは本末転倒ですからね。
そしてそれらはすべて同じ面積の人工林内で、これまでと同じことをやっている中で生まれる、ということにこそ価値があると思うのです。

なので、今回の植樹も(たぶん)カラマツを植えることになります。

そしてそれが、すべてのスタートなのです。ここから、いろいろな恵みが生まれてくる、そんなワクワクを感じながら植樹に臨むのも楽しいものです(o^―^o)

とはいえ現在は、正直ウチの他にハンノキを使う人がほとんどいないそうで、チエモクレベルでは勝手に生えてくる量ですら全然、ホントにぜーんぜん使いきれていません(^▽^;)
そしてハンノキは、どこの山にも結構生えてます。もっとハンノキを知ってもらって、木材として活用しよう!という人が増えたらいいなと願い、このことを伝えるのも、私の役割のひとつなのかなと思っています。

PS;
最近、コロナ禍きっかけで「ウッドショック」という言葉が聞かれるようになって、木材の価格や供給量について意識されるようになってきましたが、当たり前ですが、針葉樹(カラマツ・トドマツ・エゾマツ)の需要って、ものすごくあるんですよね。

で、そのほとんどが住宅用に使われていると、私てっきり思い込んでいたのですが、実は北海道産の針葉樹木材のうち、最も多い用途が梱包材(機械などの重量物を梱包するための材)・パレット用材等の「産業用資材」なんだそうです。トドマツ・エゾマツでは32%、カラマツでは82%!

一方、住宅の柱や垂木など建材の用途には、トドマツ・エゾマツで41%、カラマツではなんと2%・・・!少ない・・・。

逆に建材の用途全体からみても、輸入材、本州材に次いで、北海道産木材は20%程度しか使われておらず、こんなにも少ないということに非常に驚きました。

それを、住宅建材への活用をもっと広げよう、というのが現在の北海道林業の課題なのですが、木材を取り巻く世界の情勢がなかなか安定しない昨今、今後も国産材、北海道産材の注目が高まっていくことは間違いないと思われます。

森林側としては、針葉樹の生産という大きな役割をしっかり果たしながら、付随して発生する価値をいかに高めていくかって工夫を凝らしていくのが、なんともクリエイティブだなぁと思うのです。
※札幌市役所のHPに、北海道林産試験場制作のわかりやすい資料が掲載されていました。ご参考までに。https://www.city.sapporo.jp/…/docum…/keynotespeech_1.pdf

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